イントロダクション

津波で家族を失った幼い姉妹の心の旅路

少女に捧げる72分の魂のレクイエム

東日本大震災が発生して間もなく、一人の少女がテレビに映し出された。津波に流される母親の手を放してしまった、と涙声ながら、「私は母の分まで強く生きていきます」と話す少女の姿を見て、監督の坂口香津美は映画制作を決意したという。

2年後の2013年5月、撮影は行われた。

ロケ地となった南房総市の千倉海岸は、元禄16年(1703年)11月23日午前0時頃、発生した元禄大地震により大津波の襲来を受け、「死者1万人余」(高照寺過去帳より)ともいわれる甚大な犠牲者が出た地域でもある。

坂口香津

影:坂口香津美×海野幹雄・新垣隆

静謐な映像と心を揺さぶる音楽で紡ぎ出す衝撃のサイレントフィルムの誕生

監督の坂口香津美は、これまで200本以上のTVドキュメンタリーを手掛けた異才の映像作家。『ネムリユスリカ』『夏の祈り』『抱擁』に続き、映画6作目となる本作でも自ら撮影を手がけた。

音楽と演奏は、映画『おくりびと』に12人のチェリストの一人としてレコーディングにも参加、東京フィルハーモニー交響楽団等への首席客演など多方面で活躍の気鋭のチェリスト海野幹雄と、現代音楽の旗手として多岐にわたり精力的に活動、メディアからも注目を集める作曲家・ピアニストの新垣隆の二人の盟友が共同で担当。

詩的な映像美、全編に流れる心を揺さぶる音楽、衝撃のサイレント映画が誕生した。

 

海野幹雄影:篠原栄治

新垣隆(影:今村拓馬

© 2015 シロナガスクジラに捧げるバレエ